江戸時代に流行した芸能「鼈(すっぽん)の血合戦」

背景

江戸時代の文化は多彩な芸能が栄えた時代であり、その中でも特殊なものが「鼈の血合戦」である。この芸能は、当時流行していた血合戦(けっせん)の一種である。
血合戦とは、剣術を模した、刃物などを使った対戦芸能だ。江戸時代の身分制度により、武士がなすべき芸事に限界があり、庶民が剣術に親しむことが許された血合戦は、大衆が喜ぶものとして流行した。

芸能の概要

「鼈」とはカメのことだが、これはあくまで名前であり、実際にはカメではなく、陶器などで作られた模造品が使用された。そして、「鼈の血合戦」という名に反して、実際の血は一切使われず、水で染めた紅白の染料を使って勝負を決めた。

勝負方法は、互いに目掛けて「鼈」を投げ合い、砕いた方が勝者となる。鼈を投げる角度や距離を調整し、相手に当てる技術が重要だった。また、勝利のためには鼈の形状や重さ、そして染め上げたごまかし技術など、様々な工夫が必要だった。

終焉

「鼈の血合戦」は、江戸中期から後期にかけて流行したが、明治維新による社会変革によって衰退していった。明治時代の近代化政策により、庶民も遊興として剣術を振るうことが許されたため、血合戦が主流となり、「鼈の血合戦」のような特殊な芸能は、徐々に忘れ去られることになった。

まとめ

「鼈の血合戦」は、江戸時代の変わった芸能の一つとして知られている。カメの名前に反して模造品を使い、染めた色で勝負を決めるという独特な芸能だったが、明治維新により衰退していく中で、今ではほとんど知られることがなくなってしまった。


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