聖徳太子の出生にまつわる「聖母伝説」

聖徳太子の生涯

聖徳太子は、日本の歴史上において非常に有名な人物の一人です。6世紀末に生まれ、政治家・宗教家として活躍し、天皇令を整えたり、渡来人との交渉を行ったりして、日本の国家体制を整えたと言われています。

しかし、聖徳太子の出生には「聖母伝説」と呼ばれる伝説があります。これは、聖徳太子の母親が天孫降臨伝説において登場する天照大神の使いにして、聖なる人とされる「恵比寿女（えびすめ）」だったという伝説です。

聖母伝説の由来については、諸説あります。一つは、聖徳太子が天皇（当時は皇太子）に即位する前に、社会的地位の高い母親が必要であったため、故意に作り上げられたものという説。また、恵比寿女を母親とすることで、聖徳太子を天皇と神々が同じような位置に置き、神格化することが狙いだったという説もあります。

聖母伝説は、聖徳太子の信仰や政治思想にも影響を与えたとされています。恵比寿女を母親とすることで、聖徳太子は「神の子」として神聖視され、天皇とともに政治的・精神的支配を行う存在となりました。